ナヅナ家のはっちゃけ日常。    時々SSも落っこちてたり。


by meniydaichuki
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おつきさまのゆめ

マヒナとキノのむかしばなし。


















これはまだぼくがおかあさんの傍に居たときのおはなし。
ぼくは毎日寝て、起きて、おかあさんと話して、
空はなんにも無いところだったけど幸せに暮らしてた。
そんなある日、おかあさんがぼくを起こして言ったんだ。

『マヒナ、マヒナ、これを見てみなさい。』
『ん~…?なあにおかあさん。…この子、だあれ?』
『キノ・ラウという少年だよ。この子は毎夜魘されている。
 未来が見える故に見えてしまう悪夢に苦しんでいるの。
 この子を助けられるのはお前しか居ないよ。行っておあげ。』
『行くって下に?ひとりで?
 ぼくはいままで一度だって下に行ったこと無いんだよ?』
『大丈夫、私はいつもマヒナを見守っているから。
 だから安心してお行きなさい。』
『…わかったよおかあさん。ぼく、行ってくるね。』

唐突に見せられた星屑に映っていたのは、
ベッドで苦しそうに唸っている少年。
おかあさんがこの子を助けろって言ったから、
ぼくは生まれて初めて地上に降り立った。
空から見るよりもずっと綺麗な場所だった。

『まずはあの子のところへ行かないと。』

ぼくは星屑で見た景色を探して歩き回った。
そして見覚えのある屋根を見つけて、2階へそっと登って中を覗いた。
窓には鉄格子がかかっていてびっくりしたけど、
ぼくにはあんまり関係の無いことだった。

『…苦しんでる。』

あんなに苦しそうに眠っている子は初めてだった。
このくらいの子が見る夢はほとんどが楽しくてきらきらしたものだったから。
どうして鉄格子がかかっているのか、
どうしてドアに鍵がかかっているのか、
どうしてこの子は苦しんでいるのか、
ぼくにはまったくわからなかった。

『とりあえず話を聞いてみよう。』

ぼくはそっと鉄格子を抜けて少年に歩み寄った。
近づけば近づくほど痛いくらいにわかってしまう悪夢。
ぼくは思わず一歩後ずさりしてしまった。
この子の苦しみを和らげることはできないのか。
そう考えたとき、おかあさんの言葉が浮かんできた。
「この子を助けられるのはお前しか居ないよ。」
その言葉の意味を理解するのにそう時間はかからなかった。

『ぼくにこの子の夢を食べろっていうんだね、おかあさん。』

空に居るおかあさんに向かってつぶやいた言葉に返事は無かったけれど、
月の光が少し優しくなった気がした。
ぼくはこの子の夢を飴に変えた。
コロリと手のひらに落ちたのは
暗い、深い、悲しみの色をした飴玉。
ぼくは少し躊躇ってから飴を口に含んだ。
その途端、この子の見ていた悪夢が一気に押し寄せてきた。
なんて悲しい悪夢。苦しくて、つらい。

―この子は大人に利用されていたんだ。
毎日繰り返される予知夢の取り合い…争い。
そうすると鉄格子やドアの鍵の意味も理解できた。

『がんばってたんだね、きみ。』

ぼくが飴を飲み込んだ瞬間、ふっと少年の表情が和らいだ。
知らないうちにぼくの頬を伝う涙。
こんなに辛い夢を見ている子が居たんだ。
いままで何度か…ほんとうに数回だけど悪夢を食べたことはあった。
だけど、一つ食べただけでこんなにつらいのは初めてだった。

『ぼくがこの子を助けてあげなくちゃ。』

ごく自然に出た答えだった。
月の光は優しくぼくを照らしてくれていた。














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久しぶりにSSを書いてみました。
マヒナとキノの関係みたいなものをちょっと…
ずっとメモ帳にしまいこんでて出そうか迷ったのですが、
一応出してみて自分の中で修正とかできたらいいな。
キノの悪い夢は全部マヒナが食べてるっていうね!
要するにマヒナがキノの夢を食べるのはただの悪戯じゃなくて、
キノを助けるためだってことが書きたかったんです^^;
キノはそれを知らないから毎回夢を食べられてぷんすかしてます。
そういえばマヒナくんは夢喰いなんだよね!笑

お粗末でした!
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by meniydaichuki | 2009-09-20 18:37 | むかしのはなし