ナヅナ家のはっちゃけ日常。    時々SSも落っこちてたり。


by meniydaichuki
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永遠

永遠を生きるロアとマヒナくんのお話。























分厚い雲に月が覆われたある夜。
マヒナはどうにも寝ることが出来ず
水でも飲もうと台所のあるリビングへ向かった。
ドアを開けたマヒナは思わず立ちすくんだ。
真っ暗なリビングに気味の悪い黄緑の光。
マヒナすらも恐怖を感じるロアが居たからだ。
マヒナの気配に気づいたロアがソファにもたれかかっていた体を起こして言った。

『どうしたの?眠れないのかい?』
『…うん。きみは…ここで何をしているの?』
『俺は………ふふ、俺も眠れないんだ。』
『…そうなんだ。』

マヒナは気づいてしまった。
一瞬だけ見せた彼の切なそうな眼に。
すぐに消えたそれは何故かマヒナの胸をぎゅっと締めつけた。
放っておけない、とマヒナは思った。

『どうして、眠れないの?』
『…』

ロアは微笑むだけで答えようとはしなかった。
やっぱり自分ではロアの闇に踏み込めないと思ったマヒナが
そっとリビングを出ようとしたとき、ロアが独り言のように呟いた。

『…そういえばマヒナは俺と同じ永遠の人だってね。』
『…え?』
『だったらわかるんじゃない?永遠なんてロクなもんじゃない。』
『…えいえん。』

マヒナは永遠に生きる事を深く考えたことが無かった。
毎日が楽しくて、大好きなみんなが居て、
ただゆったりと過ごしていたからだ。
しかし彼は違った。
彼の脳裏には永遠を貰ってからの気の遠くなるような月日が蘇っていた。


『おーいアシルー!…ってまた修行かよ!
 お前ちょっと切り詰めすぎじゃね?ちょっとは休めよ?』
『ありがとう。でも俺早く一人前になりたいんだ!』
『ははっ!お前そればっかだな!
 けど体壊したら本も子も無いぜ?
 あ。忘れるとこだった!ボスさんがお呼びだそーだぞ。』
『ああ!ありがとう!…なんだろう?』

まだ半人前だったロアはいつものように死神修行に励んでいた。
その頃の名前はアシル。
早く一人前の立派な死神になるために。
半人前の死神の殆どが一人前の死神になる事を望んでいた。
ロアもまたそうで…一人前になってからの事など考えてはいなかったのだ。

『アシルよ。貴様を一人前と認めよう。』
『!!…本当ですか!?俺もやっと一人前になれたんだ!』
『ふふ、嬉しいか。』
『もちろんですよ!俺の夢ですから!』
『ふむ…今ここで貴様の夢が叶った。貴様はこれからどうする?』
『…え?』
『ふふふ、貴様には一人前の証として【永遠】をやろう。
 立派な死神として生きるがいい。』
『えいえん…』

その時は理解できなかった。
【永遠の命】死なない、衰えない…それはどんなに特別なことか。
嬉しさしかこみあげてこないロアはただひたすら仕事をこなした。
彼が【永遠】を自覚したのは何百年か経った後。
ふと周りを見渡せば自分は独りだった。
友達も、仲間も、信頼する部下も、みんな死んだ。
【永遠】を与えられる者は少ない。
彼らは皆【永遠】を与えられる事無く居なくなった。

『これが、俺のしたかったことなのか?
 誰も、居ない。俺は、独り…。』

孤独を自覚してからのロアは荒んだ。
名前をアシルから【永遠】という意味のマウロアに変えてから、
彼は誰も信用しなくなった。誰にも心を開かなくなった。
築きあげてもいつかは消えてしまうものだから。

そうやって独りで生きてきたロア。


『ふふ、きみに話してもなんにも意味無いんだけど。
 きみは【永遠】について考えたことがあるのかい?』

いつもの愛想笑いで振り返ったロアは驚いた。
マヒナの瞳からは止め処なく涙が溢れていたから。

『どうしたの?』
『ぼくにも、わかんない。なんでだろ、とっても悲しい。』
『…』

ロアの心は揺れた。
自分のために涙を流した人は何百年ぶりだろう。
人を裏切り、利用し、切り捨ててきたロアはもちろん誰からも疎まれていた。
黙り込むロアに涙を流しながらマヒナは言った。

『きみは…独りじゃないよ。』
『…違う。俺は独りだ。』
『独りじゃないよ!
 今はぼくも居る。みんなも居る。』
『…』

ロアはマヒナの顔をじっと見て、ふうと溜息を吐いた。

『ずいぶん甘っちょろいとこに来ちゃったなあ。
 そんなこと言われても仕事はきっちりするよ?』
『だいじょうぶだよ。ロアくんほんとはいい人だもの!
 ユランスくんだって強いし!殺されちゃったりしないよ。』
『ふふ、きみには敵わないな。』

ロアは笑って空を見上げる。
淀んだ雲はいつの間にか晴れていたようだ。
今日は満月。月からは優しい光が降り注いでいた。
「マヒナみたいだな。」なんて柄にも無いことを思いながら
ロアはゆっくり寝室へ向かった。
なんだか今日はよく眠れそうだ。











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マヒナくんは我が家に来るまでずっと空で暮らしていたので
周りの人がいなくなってしまう恐怖を知りません。
逆にロアくんは永遠を与えられてから親しい人はみんな死んでしまったので、
永遠に生きることを苦痛としか思っていません。
同じ境遇の人が見つかったからロアくんも少しだけ心が安らいだんだと思います。
死ぬのも怖いけど永遠に生きるのも辛いですよね。

お粗末でした!
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by meniydaichuki | 2009-12-20 15:03 | すべた