ナヅナ家のはっちゃけ日常。    時々SSも落っこちてたり。


by meniydaichuki
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ボクの人魚ひめ

スイフォンとティフェトの出会いのお話。











『こんにちは~』
『どちらさ、ま…ッ!!ス、スイフォン!?』
『あらあらあら~そない驚かんでもええんやない?
 お宅さんのトコに黒い涙を流す子供がおるって聞いたんやけど。』
『来るな!そんな子供ここには居ない!』
『ん~?おかしいなあ?確かな情報やったんやけど。
 お。でも子供は居るんやなあ。ちょっとあの子見せてくれへん?』
『い、居ないと言っているんだ!早くここから出て行け!』
『うおっと。危ないなあ~箒は人に向けるもんとちゃいますよ?』

その昔、スイフォンは気触れの科学者として恐れられていた。
それというのもスイフォンの実験対象にされたものは
ことごとく原型を留めない程に解剖され、実験され、棄てられるからだ。
スイフォンに悪気が全く無いのも恐れられる理由だった。

『おもろないなあ。
 最近の人は実験の価値がわかっとらんわ。』
『あ!そこのお兄さん!おもしろいものなら今ここで売ってるよ。』
『ん?おもろいもんあるんか?なんですの?』
『人魚の鱗だよ。なかなか手に入らない代物ですぜ。
 今しがた海辺の漁師から買い取ったモンさ。』

商人の手にはピンクのきらきらした鱗。
確かに魚の鱗というには大きく、美しすぎた。

『へえー噂には聞いとったけど人魚なんかほんまに居るんかいな。』
『ああ。人魚は居ますぜ。
 しかも人魚の肉には不老不死の効能もあるらしい。
 だからホラ、ここいらの漁師たちは本業なんてほっぽって
 血眼になって探してやがる。』
『ククッ、興味湧いたわあ。コレ、貰いますわ。』
『え!ちょ、お兄さん!お代多すぎますぜ!』
『ボクかてそんなもんいらへんのや。
 おもろい情報くれたお礼にお宅はんにやりますわ。』


それからスイフォンは海辺の家を一軒買い取り住み着いた。
人魚を見つけ出して研究するために。
毎日 毎日 海を見続けて2年が経った。
漁師たちもとっくに人魚探しをやめ、スイフォンも諦めかけていた頃…
そろそろ引っ越そうかと思いながら何気なく海を見ると
何かピンクの大きなものが倒れているのを見た。
慌てて砂浜に行くとそこには桃色の長いウェーブがかった髪に白い肌、
長い睫毛に水気を帯びて儚げな、実に美しい女が倒れていた。

『ッ…こりゃどういうこっちゃ。』

身に纏う衣類はぼろぼろで、もうずいぶん長く使われているものだとわかった。
よく見てみると女は傷だらけで弱りきっていた。

『こりゃ手当てせなやばいかもしれん。』

スイフォンは女を抱えて家に戻り、手当てを施した。
女は苦しそうに唸った後、また眠りに落ちた。



女が目を覚ましたのは3日後、名をティフェトと名乗った。
スイフォンは人魚の研究をするつもりだったのをすっかり忘れ、
知らぬ間にティフェトとの生活を楽しんでいる自分が居た。
しかし時折見せるティフェトの哀しそうな笑顔に
何度も胸を締め付けられる思いがした。
賢いスイフォンにとってこれが恋だと気付くのにそう時間はかからなかった。

『ティフェトはん、お宅どうしてあそこに倒れてはったの?』
『…』

ティフェトと暮らし始めて2週間が経ったころ、
スイフォンは思い出したようにティフェトに尋ねた。
その質問にティフェトは困ったように俯いて
しばらくしてまた顔を上げた。

『わたし、実は昔人魚だったんです。』
『…な、に?人魚やって!?』
『はい。そしてその頃わたしには人間の恋人が居て…
 どうしてもその人と同じになりたくて、
 海でいちばんと謳われる魔女に頼んだんです。』
『…それで人間に。で、その相手さんはどこにおんの?』
『…死んでしまいました。
 見かけが人間になってもわたしは人魚。老いることもありません。
 その間にあの人は…寿命で死んでしまいました。』
『そうやったの。悪い事聞いてしもたな。』
『いいえ!…気にしないでください。』

それきりその話をする事は無くなった。
それから数日経って、ティフェトが急にこの家を出て行くと告げた。

『な、なんでやの?もっとおればええのに。』
『いいえ。これ以上お世話にはなれません。』
『それにしたって…行くあてあるの?』
『いいえ。』
『…何かしたいことがあるんやな?』
『…。』

ティフェトの沈黙は肯定を表す。
そう判断したスイフォンは笑って言った。

『ティフェトはん…1人で行くやなんて水くさいやないん?
 探し物は1人でするより2人でした方が断然早いで?
 遠慮せんと言ってくれればええのに。』
『そんな…!これ以上迷惑は…!!』
『迷惑なんかやない!』
『…ッ!』

スイフォンがこれほど大声を出すのは何年振りだっただろうか。
ティフェトは驚いて固まっていた。
そんなティフェトを見たスイフォンは我に返り、声を抑えて言った。

『頼むから迷惑やなんて言わんといてな…。
 ボクが勝手にしたいだけなんや。
 ティフェトはんがどうしてもボクを置いていくって言うんなら
 ボクは迷わず海に身投げするで?それでもかまんって言うん?』
『それは…!!良いわけありません!!
 でも…どうしてそこまでわたしのことを?』
『フフ、それを聞くんは無粋っちゅうもんや。
 あえて言うならティフェトはんにボクのハート持ってかれたからかなあ?』
『…え?』

ティフェトは驚きのあまり間の抜けた声しか出せなかった。
スイフォンはそんな彼女に構わず旅支度を始め、
出発の準備が整ってから彼女に尋ねた。

『で、何を探すの?』
『…人魚に、戻る方法を。』
『う~ん…人魚に、ねえ。ボクでもそんな方法は聞いた事無いわ。』
『…ですよね。』

しゅんと落ち込むティフェトを見て
あわててスイフォンは付け加えた。

『でもボクはティフェトはんのためならどんなことやって叶えてみせるわ!
 人魚に戻る方法、2人で探しに行こうや!世界は広いんやから!』

スイフォンの言葉にまた一瞬驚いた顔を見せたティフェトだが、
すぐに笑顔になって「ありがとう」と笑った。
その笑顔が美しくて愛しくて、
スイフォンは赤くなった顔を隠すため
「行くで!」とぶっきらぼうに言って歩き出した。
彼女も嬉しそうにスイフォンについて歩く。

それからイルヴァたちに出会うのはまた数年後のお話。

















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ティフェトとスイフォンの昔話。
この2人とイルヴァたちの出会いのお話も書いてみたいなあ。
それにしてもまとまらない!
もっと文章が上手に書けるようになれたらいいのに><;

お粗末さまでした!
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by meniydaichuki | 2010-01-07 16:37 | むかしのはなし