ナヅナ家のはっちゃけ日常。    時々SSも落っこちてたり。


by meniydaichuki
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淡い微笑み

柚子のおはなし!
恋に関しては内気な柚子さんの昔話。



















冬にしては温かい昼下がり。
俺はのんびりと縁側で寝転んでいた。
ついさっき餡蜜が「柚子兄様!そこはわらわの場所でございまするぞ!」
と騒いでいたのだが、いつのまにか居なくなったようだ。
縁側のゆっくりとした雰囲気が俺は嫌いじゃない。
ここだけ時間の流れが違うように感じて…
ここでただぼんやりとしている時間が俺は好きだ。

『柚子…あなたその長い髪、鬱陶しくないの?』
『あぁ?…なんだ皐月か。』
『そこまで長いと手入れ大変じゃない?私よりも長いわよ?』
『手入れなんてしてねぇさ。ほっぽってたらこんなに長くなっちまった。』
『あら。じゃあ切りに行けばいいのに。』
『めんどくせえ。』
『…変なの。』

皐月は、納得行かないという顔で見てきたが俺は何も言わなかった。
皐月も答えないとわかるとそっとリビングへと歩いていった。
俺は溜息をついて倒れこんだ。

『覚えてねぇか…もう4年も前だもんな。』



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あれはそう、俺がこの家に来たばかりのころ。
そのころは俺も髪は短かった。
まだ家族も少なくて、皐月や神奈や雪菜、空也や霙くらいしか居なかったかなぁ。
この家族の雰囲気にまだ慣れなくて、俺は一人で縁側で昼寝してた。
そこに来たのが…皐月だった。

『柚子、貴方なんでリビングに来ないの?』
『別に。理由なんて無ぇさ。ここが落ち着くんだ。』
『寝転んでて楽しい?』
『ああ。』
『そう…それじゃあ…』

綺麗な青い髪が揺れた。
気付けば皐月は俺の横で寝転んでいたんだ。

『…な!なんでおめーが寝るんだよ!』
『貴方が楽しいって言ったからよ。私も体験しなきゃ不公平じゃない。』
『なんだソレ。』
『あー…気持ちいいわね。楽しいとは言い難いけど…確かに落ち着くわ。』

そう言ってやわらかく微笑んだ。
その笑顔を見た瞬間、俺の心臓が大きく動いた。
本当に…息が止まってしまうんじゃないかと思った。
俺が何も言わないのを不審に思ったのか、皐月はくるりと身体をこっちに向けた。
そしてじーっと俺の顔を見たかと思うと突然言ったんだ。

『柚子の髪って綺麗ね。』
『っ!…そ、そうか?』
『ええ。つやつやで枝毛なんて無いんじゃない?…さすがの私も顔負けね。』
『はっ!髪なんか褒められたって嬉しかねーよっ。』

その時俺は平然を装うのに必死だった。
俺の心臓の音は皐月に聞こえているんじゃないか。
…馬鹿みたいだけど、必死だったんだ。

『切っちゃうの勿体無いわねぇ…』

皐月はそっと俺の髪を触って呟いた。
俺の心臓は鳴り止まなくて、声も出ない。
こういうのを恋と呼ぶんだと俺は初めて知った。


―それからだ。
俺が髪を伸ばし始めたのは。
他人から見ればただの馬鹿だろうがそれでも良かった。
皐月が褒めてくれたこの髪を愛しいと思った。
例え皐月が忘れてしまっても俺は忘れないだろう。
あの日の輝くような笑顔と俺の髪を触るときの繊細な指先を。

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『…ず!柚子っ!!』
『んあ゛!?んだ…霙か。』
『みんなで人生ゲームするんだってよ!
 皐月が言うからお前誘ってやる!早く来いよ!』
『おいチビ…てめー偉そうに何言ってやがんだ?』
『チビとか言うんじゃねーよ!そんなに変わんねぇだろ!?
 お前こそせっかく誘ってやってんのにその態度は何だ!
 女みてーな名前しやがって!おかまか!!』
『フッ…言ってはならない事を言ったな霙…
 死ぬよりも辛い思いをさせてやろうかぁ?あ゛ぁ!?』
『…どうもスイマセンデシター!!;』
『はっ!もう遅ぇんだよっ!』

霙と馬鹿な事をしているのをクスクスと笑う皐月。
お前が楽しいなら俺はこれで幸せだ。
いつかこの想いが伝わる事はあるのだろうか。報われるのだろうか。
柄にも無くこんな事を考えてしまった冬の一日。








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あんまり知られてないと思いますが、
ナヅナ家では霙→皐月←柚子という三角関係が成り立ってます。
霙はオープンに好きだー!って言うんだけど、
柚子さんは意外にシャイなので言えない感じ。
二人は会うといっつも喧嘩ばっかりです。
でもお互いライバルとして認めてる感じ。
微笑ましく見てるのがまわりのナヅナ家メンバーたち。
たまにはこんな淡い恋も良いかなぁ…と。
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by meniydaichuki | 2007-12-05 20:54 | むかしのはなし